2024(R6) TOPICS
- 宗野 文

- 3月31日
- 読了時間: 2分
更新日:9月14日
活動方針
やどかりの里の価値を発信し,
未来を展望するすべての人の尊厳が守られる社会を目指して

所報やどかり「編集後記」より
2025年3月28日(金),
生活保護基準引き下げ違憲訴訟「いのちのとりで裁判」
の(埼玉訴訟)東京高裁判決「勝訴」
(国家賠償請求は棄却)が言い渡されました.
全国29地裁で提起された同種訴訟において,
生活保護基準引下げ処分の取消しを認容した
控訴審の判決は6件目となります.
10年を超える訴訟の取り組みは
機関紙『やどかり』等でレポートしてきました.
『響き合う街で112号2025.2月号』でも,
訴訟運動全般に関して,
詳しく記述されていますので
参照していただければと思います.
日本弁護士連合会が提案している
「生活保護法改正要綱案(2019年2月14日改訂版)」
をご存じでしょうか.
この要綱案のポイントは
5つの柱からなり,
①権利性の明確化
②水際作戦を不可能にする制度的保障
③保護基準の決定に対する民主的コントロール
④一歩手前の生活困窮層に対する積極的な支援の実現
⑤ケースワーカーの増員と専門性の確保
が掲げられています.
すべて重要な改正要綱案だと思いますが,
特に
①権利性の明確化と
③保護基準の決定に対する民主的コントロールが
最重要ポイントだと考えます.
「保護」という用語が,
利用者にはスティグマ
(世間から押し付けられた恥や負い目の烙印)を与え,
制度運用する公務員に
「保護を与えてやっている」という
誤った意識を生むことにつながっています.
「生活保障法」に改める法律の名称変更と,
用語の置き換え
例「被保護者」を「利用者」に,
「扶助」を「給付」になど)を求めています.
③については,
今回の「いのちのとりで裁判」に
大きく関わっている事項ですが,
現行保護基準は
厚生労働大臣が定めていますが(
生活保護法8条第一項),
国会(議員)で議論,
決定されるべき事項だ,
としています.
ぜひ,この機会に一読してもらい,
議論や検討をしてみたいと思いますが,
みなさんはどう感じるでしょうか?
少数意見にも耳を傾け,
合意形成をはかり,
一致点を見出す作業やプロセスが
民主主義の本質だと考えますが,
一方で「数は力」であり,
多くの人たちが関心を寄せている制度で,
改正を求めていく
「声の多さ,大きさ」を示すことも
民主主義なのではないでしょうか.
勇気をもって立ち上がった原告団と
力を携えて,運動を継続していきましょう
(所報編集委員会)



