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日本国憲法制定から80年

  • 執筆者の写真: 中村 由佳
    中村 由佳
  • 5月15日
  • 読了時間: 3分

自由と権利を守る「不断の努力」を

 アメリカとイスラエルによるイランへの軍事攻撃に関する報道が連日続いている.ウクライナやガザ地区など,世界各地での戦闘行為も治まる見通しがない.日本においては,戦後80年の節目を経て,日本国憲法のもと,80年間戦争のない暮らしを送ることができている.


太平洋戦争の反省から生まれた日本国憲法(以下,憲法)は国の「最高法規」であり,国家権力を縛り,私たちの人権を守るための規範である.学校でも,重要なこととして憲法の3大原則(「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」)を学んできた.しかし私にとって,憲法が暮らしの隅々に関わっていることを意識するようになったのは,障害のある人の暮らしに関わるようになってからだ.


憲法の重要性を認識した運動のひとつに,生存権(憲法25条)の保障を求めた生活保護基準引き下げ違憲訴訟の取り組みがある.国を相手にやどかりの里のメンバーも原告として法廷に立ち,10年間の闘いを経て勝訴した.


生活保護制度は多くのやどかりの里メンバーの暮らしといのちを支える大切な制度だ.その支給額の減額に対し,憲法に照らして違法性を訴えたのである.こうした運動を通して,生存権が私たちの暮らしの根底を支える権利であることを意識し,憲法を「自分たちのもの」として感じられるようになった.


ハンセン病訴訟,優性保護法訴訟,JR無人化駅反対訴訟など,人権を踏みにじられてきた人たちに寄り添い,憲法を武器に闘ってきた弁護士の徳田靖之さんは,やどかり出版『響き合う街で115号』で,「私たちの歴史は,ある権利から排除された人たち,名もない小さな存在たちの命懸けの闘いによって,私たちの社会を変えてきました」と述べている.


また,「人権を守るというのはとても難しいことです.私たちは過ちを繰り返しながら,本当に1人1人が大事にされる世の中というのはどういうことかを学び続けていくしかありません.その繰り返しではじめて,人権を守ることが身についていくのです」とも語っている.


私たちは障害のある人との関わりの中で,自身の無理解や偏見に気づかされることも少なくない.そうした「当事者との出会い」から得た学びを,当事者とともに世の中を変えていく力につなげていかなくてはならない.


高市首相は,2027年春までに憲法改正の国会発議のめどを立てると発言した.自民党が示してきた改憲草案では,3大原則は変えないとしながらも,人権や平和主義のあり方に関わる実質的な見直しが提案されている.だからこそ,私たちは人権感覚を研ぎ澄まし,その内容を読み解いていく必要がある.


憲法12条の前段には,「この憲法が国民に保障する自由及び権利は,国民の不断の努力によってこれを保持しなければならない」とある.歴史を振り返れば,人権は時の為政者によって容易に制限されてきた.自由と権利を守るための「不断の努力」が,私たち自身に求められていることを忘れずにいたい. (中村 由佳)


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