写真と言 葉07

榎本進一
パソコンのパーツを素材ごとに分別し解体作業をしている。ケーブルはゴムを剥がし、中の銅線を取り出す。
「Appleはリサイクルがしにくいですね。その点、Windowsは、分別しやすいように作られていますよ」
細かい作業を仲間たちと黙々とこなしているのは、榎本進一さん。温厚な物静かな人だ。
埼玉県戸田市出身。
高校を卒業したが、就職試験に失敗。途方に暮れていた時に、同級生の父親が経営する、電気関連会社に口利きをしてくれ、そこに就職することができた。変電所を作る会社で、38年間働き続けた。主任まで出世し、40歳で一軒家を建てるまで頑張ってきたが、定年になる4年前に倒産した。
「家族のように38年間慕ってくれて、まかない料理もずっと作ってくれ、本当にありがたかったから、この会社から退職金はもらえないと思ったんです。同級生の友人が、借金を背負うことになるからね」
本当に優しい人だと思った。
県営住宅に暮らしていたが、25年ローンを組んで、30坪の土地、二階建ての新築という一軒家を購入した。母親と一緒に暮らすためだった。
退職後、すぐにハローワークに通い、清掃の仕事を見つけてきた。そこでしばらく働くも調子が悪くなり、仕事を断念せざる終えなくなった。ローンの支払いが残っている中、完財まであと少しのところで、手放すことになった。
入院こそなかったが、病気との付き合いが始まり、やどかりの里と出会うことにもなった。
休日は、趣味の時間にあてた。
鉄道模型、カメラ、ラジコン、釣り。一人で黙々とやっていることが好きだと語った。
榎本さんはとにかく継続力のある人だという印象だった。一度始めたら、やめるという選択肢がないと本人も言っていた。
「今やっているパソコンの解体はとても性に合っているんです。自分は一人で黙々と仕事をしているのが向いているんです。きっとやどかりでは、死ぬまで仕事が続けられると思っているんです」
と笑った。
