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写真と言葉02

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高野 博史

やどかり情報館の奥の部屋から、コンコンコンコンという音が聞こえてくる。
革に打刻印を木槌で叩く音だった。

高野博史さんは、その作業に没頭中だ。
生まれは、羽田空港の近く。国鉄マンだった父親の転勤で、大宮市(現・さいたま市大宮区)の社宅に引っ越してきたが、生まれてすぐのことで記憶はない。

「3 人兄弟の長男で、育てるのに一番金がかかったのに、できが一番悪くて」と苦笑いした。

色鮮やかな革の製品は、模様がとても細かく、仕上がりがキレイだ。コン詰めないと、継続できなさそうな作品ばかりだった。
集中している時の目と、話をしている時の目がまったく違っていた。

「大学は工学部でしたが、機械は苦手でして」
工業系企業の孫請けの会社に就職した。

「船で運ばれてきた大きな鉄の板を、溶鉱炉に運び、溶かして成型する仕事でした。しかし働く前の研修の段階で、いじめに遭ってやめたんです。

次の会社でも、名古屋まで行ったのですが、同じような激しいいじめが続き、結局、仕事が続きませんでした。

表情もなくなり、思考停止になってしまったんです。本当につらい時期が続きました」

現在は週に二日、自宅から作業所に通ってきている。毎日のルーティンも決めているそうだ。
漢字検定3級のドリルをこなす。
数学の勉強。
漫画を描く。
自分の空想画を描く。

「僕の得意なことは、本を読んだり、一人になって集中することです。表に出る仕事はできません。
裏でコツコツと自分で考える仕事が向いていると思います。だから今の革細工は、一人で集中できるので、楽しいですね」

個性を活かした仕事によって、自分らしさを引き出す。
「だから、やどかりには本当に感謝しているんです。ここは、自分の居場所ですから」と。




 
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