第23回やどかり研究所 報告交流集会
2026年3月28日(土)9:30-16:30
やどかり情報館
終わらない戦争の記憶と
精神障害者の生活支援
戦後80年の節目に,私たちが考えたいこと

2025年は戦後80年の節目の年にあたり,やどかりの里は55年の節目を迎えました. 今年度はこの2つの節目を意識しながら「やどかり研究所報告・交流集会」を開催します. やどかりの里は,活動の節目ごとに調査活動を実施し,創立30周年の節目に初めて取り組んだ状態調査(話し合いによる調査)を55周年に当たる2025年に精神障害のある人・家族の状態調査を実施しました.20年余の間に法制度も変わり,私たちを取り巻く環境も大きく変わりました.今回は,精神障害のある人(1999,2025),家族(2006,2010,2025)への調査を比較検討しながら,精神障害者への生活支援のあり方について考えます. 合わせて,55周年の節目に出版された「もう1つの価値を生きる メンバー・家族がつないだバトン」で私たちが受け止める本当に大切なことは何か,そして,自助・共助・互助が強調される中で,「徳田靖之弁護士が語る 自分らしく生きることは『絶対的権利』」(響き合う街で115号)を読み解き,日本国憲法の大切さを改めて考え,午後のプログラムにつなぎます. そして,午後は,長年にわたり「戦争とトラウマ」をテーマに研究を続けている中村江里さん(上智大学)をお招きし,戦争が人の心や家族,社会にどのような影響をもたらしたのか,日本兵が負った“見えない傷(トラウマ)”と,その影響が戦後の家族や社会にどう受け継がれたかなどお話しいただきます. ご参加いただく皆様には以下の2冊をお目通しいただきご参加いただければと思います. ①「徳田弁護士が語る 自分らしく生きることは『絶対的権利』」:響き合う街で115号 ②「もう1つの価値」を生きる メンバー・家族がつないだバトン:やどかり出版,2025
01
プログラム
総合司会 渡邉奏子(浦和区障害者生活支援センターやどかり)
9:30~ 9:45 開会あいさつ/やどかり研究所活動報告
9:45~11:25 第1部 精神障害者への生活支援を改めて考える 調査報告を中心に
報告1 やどかりの里の精神障害のある人たちの状態調査 2回の調査を踏まえて
報告者 三石麻友美(やどかりの里見沼区障害者生活支援センターやどかり)
やどかりの里は1970年の活動開始以降,精神障害のある人の声を聴くことを基本に据え,活動を展開してきた.活動の節目に調査を実施し,実態に基づき活動の方向性を議論し,生活支援活動を進めてきた.ここでは,1999年と2025年に実施した精神障害のある人の状態調査を比較検討し,精神障害のある人が置かれている状況や生活支援活動について,変わったこと,変わらないことを整理する.特に,2006年に施行された障害者自立支援法(現,障害者総合支援法)以降,福祉の市場化が進み,私たちを取り巻く状況が大きく変化した.そうした社会状況の変化も踏まえ,精神障害のある人の地域生活支援のあり方,目指すべき方向を考えたい.
報告2 やどかりの里の家族の状態調査 3回の調査を踏まえて
報告者 大澤美紀(サポートステーションやどかり)
やどかりの里では,2006年から2026年までの20年間に,3回の家族の状態調査を実施している.この間に,私たちを取り巻く社会状況は大きく変わったが,いずれの調査からも家族が抱える課題は,時間が止まっていたかのように変わらないままだ.ある時,子やきょうだいが発症し,「どうしていいかわからなかった」と対応に戸惑い,苦悩する家族の姿がある.そして,家族自身の生き方や暮らし方を変えざるを得ない状況があり,家族依存は何ら変わっていない.支援につながった後も「親亡き後の不安」を常に抱えている.家族依存の状況を変えるにはどうしたらいいのか.家族にとって一番大変だった時期に必要だった支援は何だったのか,そして今家族が必要としている支援は何か,家族の経験を活かした活動をつくれないか,などこれまでの調査結果を振り返りつつ,求め続けられている家族支援の実現を考える機会としたい.
休憩(10分)
報告3 やどかりの里の55年の歴史を今につなぐ
報告者 本多真季(やどかりの里あゆみ舎)
やどかりの里55周年の記念出版として,『「もう1つの価値」を生きる メンバー・家族がつないだバトン』が発行された.やどかりの里の創設に深く関わり,55年の歩みの中で活動の原動力となり方向性を指示してくれたメンバーと家族13人の人生の物語が綴られている.現代社会では,IT化や競争原理に飲み込まれやすく,目の前のことに追われてしまうことで本当に大切なことが見落とされてしまう.メンバーや家族の体験,気づきや知恵にこそ物事の本質が潜んでいる.病気や生きづらさを抱えながらも地域で生きることを選び,自分らしい生き方を見つけてきた人たちの言葉や記録から,「もう1つの価値」が浮かび上がる.本報告では,書籍を読みどのようなメッセージを受け取ったのかを報告する.参加者1人1人が「もう1つの生き方」を考えるきっかけになればと思う.
報告4.改めて日本国憲法を生かすために
「徳田靖之弁護士が語る 自分らしく生きることは『絶対的権利』」から考える(響き合う街で115号)
報告者 永瀬恵美子(やどかりの里事務局)
「響き合う街で115号」には,徳田靖之弁護士の生い立ち,ハンセン病訴訟,優生保護法訴訟,JR無人化駅反対訴訟をめぐる闘いが綴られている.それは,「憲法から置いてきぼりにされた人たち」から,人間はどうあるべきか,どう生きていくべきかを学びつつ,憲法を基本に据え,人権を回復する営みだった.そして,憲法から排除されてきた人たちの闘いこそが,いまの私たちの社会を変え歴史をつくっていくという.目の前の人から学び,憲法を土台に共に歩む姿は,福祉の実践・活動においても大切な柱である.徳田弁護士の歩みから,憲法を自分ごととして捉え,活かしていく意味を考え,午後につなげていきたい.
11:25~12:00 自分の好きな憲法条文を語り合う
12:00~13:00 昼食休憩
13:00~14:30 第2部 終わらない戦争の記憶を今につなげる
講 演 兵士たちのトラウマと家族
話し手 中村江里さん(上智大学文学部史学科)
国内だけでも軍人・民間人あわせて約310万人の戦死者を生みだしたアジア・太平洋戦争は,生き延びた人々の心身にも深い傷痕を残しました.中でも戦争によるトラウマや精神障害は,ここ20年ほどの間にようやく研究が進展した問題であり,近年は復員兵の子ども・孫世代の活動により社会的にも注目されるようになりました.
日中戦争以降,戦争で心を病んだ兵士のための治療体制が整備されましたが,その存在は士気の低下を象徴するものとして公的には否認・軽視されていました.また,身近な人の悲惨な死がありふれていた戦後の日本社会では,生存者罪悪感を抱え,戦争について沈黙する復員兵がほとんどでした.しかし,ケアされることなく,家庭に持ち込まれたトラウマは,様々な形で家族に影響を及ぼしたことがわかってきています.
この講演では,およそ80年前に日本が経験した戦争を事例に,戦争が人間の心に及ぼす長期的な影響,精神障害とスティグマ,トラウマの世代間の影響などについて,皆さんとともに考えていきます.
<プロフィール>
上智大学文学部准教授.専門は歴史学で,主に近現代日本の戦争と精神医療の歴史,ジェンダー史を研究.主著に『戦争とトラウマ―不可視化された日本兵の戦争神経症』(吉川弘文館,2018年),「『社会的苦しみ』としての戦争トラウマ」(『BRAIN and NERVE』75巻9号,2023年),「戦後家族の中の『戦争』―日本軍兵士の子どもたちのオーラル・ヒストリー」(『日本オーラル・ヒストリー研究』第21号,2025年)など.
休憩(15分)
14:45~15:30 てい談 歴史に学ぶ見えない苦しみ 私たちが大切にしたいこと(仮)
中村江里さん 結城俊哉さん(立教大学コミュニティ福祉学部) 増田一世(やどかりの里)
15:30~16:30 全体討論
指定発言 木村千夏(サポートステーションやどかり)
鈴木裕貴(大宮区障害者生活支援センターやどかり)
02
参加について
参加費:2,000円(研究所会員は1,000円)
※当日,会場にてお支払いください
会 場:やどかり情報館 2階ホール
申込方法
グーグルフォームよりお申込みください.
※メールまたはFAXでのお申し込みも可能です.
下記内容を記入のうえ,ご返信ください.
(氏名,所属,住所,電話番号,会員・非会員の別)
E-mail:y.kenkyu@yadokarinoato.org
Fax: 048-680-1894
受付締切
2026年3月21日(土)まで
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会場案内
さいたま市見沼区染谷1177-4 やどかり情報館
電話 048-680-1891
Fax 048-680-1894

