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障害年金不支給の割合が倍増

  • 執筆者の写真: 鈴木 裕貴
    鈴木 裕貴
  • 6月15日
  • 読了時間: 4分

更新日:8月29日

今,制度の在り方 が問われている

2025 年4月28日, 2024年度に障害年金が 不支給と判定された人の割合が,

2023年度の2倍以上に急増し, 約3万人に上るという 共同通信の報道があった.   障害年金は,

病気やけがによって 生活や仕事などが 制限をされるようになった場合に,

生活保障の1つとして 支給される公的年金である.


障害年金を 継続して受給するためには,

1~5年ごとに 障害の状態を確認する 手続きがある.


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報道によると,

障害年金の等級を判定する 判定医の判断を,

日本年金機構障害年金センターの 一部の職員が 誘導している可能性があるという.


ある日突然,

障害年金が支給停止になった 約3万もの人たちの生活は どうなっているのだろうか.


複数の障害者団体が

「看過できない」

「制度への信頼を大きく揺るがす」

と疑念や不安の声明を 発表した.


国会でも取り上げられ,

福岡厚生労働大臣は 実態把握に向けて調査し,

結果を公表すると 表明している.


やどかりの里では,

2013年に, 障害年金を受給していない登録者の 生活実態に関する アンケート調査を行った (「響き合う街で」69号,73 号,74号参照).


当時の登録者319名のうち,

119名が 障害年金を受給していない状況で,

そのうち, 80名に インタビュー形式で アンケート調査を行った.

 

生活保護を 受けていない人(63%)のうち,

72%が家族同居で,

77%が親または兄弟からの 援助を受けて 生活していた.


そして,

「親の援助だから負い目を感じる」

「親亡き後,自力で生計を立てていけるか」

などの不安を抱えていた.


また,

「本当に困っている人が使えるように,  漏れのない制度にしてほしい」

「障害年金制度を知らなかった.  周知をして欲しかった」

「生活保護ではなくて  障害年金で暮らしたい」

「診断名ではなく,  その人の状態にあわせた決定をしてほしい」

「きちんとした所得保障制度を作ってほしい」  など,

所得保障制度への 切実な要望もあった.


国連障害者権利委員会の 総括所見(2022年)でも,

障害年金の支給額について 障害者団体と 協議するよう勧告されている.


障害年金は,

設定の仕組みや その支給水準に 大きな課題を抱えているが,

障害のある人にとって,

生活や人生を 支える重要な 経済基盤である.


それをあいまいな 認定基準の中で,

恣意的に 操作されているとしたら, 座視できない. 


年金制度は 5年ごとに 見直しがされる.


障害年金法研究会から 2025年年金制度改革への 提言書を提出するなどの 動きもあったが, 2025 年度の改正については,

十分な議論がなされず, 先送りになっている.


しかし, 5年後の改正を 待っていていいのか. 


やどかりの里としては,

他団体との学習や 運動の機会に 積極的に参加して 問題意識を深め,

実情を把握し,

障害のある人の 所得保障のひとつとして,

1日も早く, 成人期の障害のある人が 親からの独立が 可能となる

障害年金制度の確立を 目指した 取り組みを 進めていきたい. 


(鈴木 裕貴)

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機関紙やどかり 6月号 <目次> 1.障害年金不支給の割合が倍増 今,制度の在り方が問われている(鈴木裕貴) 2.東日本大震災から14年 ふくしかから学ぶ(堤若菜)

3.第21回メンバー交流会報告 春のスポーツ大会(松本佑樹) 4.1人1人が主役のおまつり アートフルゆめまつに参加(本多真季)

5.キラッと光る魅力発信 やどかりの里と地域のつなぎ役 金銅孝さん(渡辺仁)

6.やどかりミーティング 詐欺に遭わないために(常盤英佑)

7.やどかりの動き

8.やどかり日誌

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